by こんぴら天狗
白樺のチカラ シリーズ
2014年05月13日
NK細胞知らぬが仏 がん殺す
一口に、免疫に関わるのはリンパ球と称されていますが、進化の程度によってNK細胞、胸腺外分化T細胞、胸腺由来T細胞そしてB細胞があります。これがリンパ球の代表的なチームメイトです。がんを殺す能力のあるNK細胞が発見されたのは20世紀の後半、1975年のことです。NK細胞はがん細胞のほか、ウイルス感染細胞も殺すことが明らかになりました。NK細胞は自分らしさを失った細部、いいかえると感染されて多少異質なものと化した自己細胞を排除するリンパ球といってもいいでしょう。細胞のがん化はすべての人に毎日起こっている日常の出来事です。細胞が増殖する機能をもつことに付随したごくありきたりの出来事なのです。それをNK細胞が殺して歩くのもまた日常の出来事です。このバランスがとれているかぎり日々是好日です。胸腺外分化T細胞は、思いがけない働きをしていました。これらは内部の異常を監視する免疫システムだったのですが、進化レベルの高いT細胞、B細胞は、ストレスや加齢によってつくられなくなる事態が起こります。そのとき、これらの進化のプロセスでは古いものに属するリンパ球が、かわりに働き出して身体を守っていたのです。つまり種々のリンパ球は、空間的にも時間的にも役割を分担していたのです。
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