by こんぴら天狗
白樺のチカラ シリーズ
2014年04月18日
マクロファージ
生きることは関わることです。いかなる他者とも関わりをもたなくなった姿を、死と呼びます。生きていくとは、関わりをより多岐にわたるように増やしてくことです。そのために、私たちは活動の場をさまざまに広げていきます。人生系の物語とは、大脳前頭前野が主導するその発展や挫折の姿のことです。その人が属している文化ごとに、私たちは成長に即した自己防衛のための知恵を教えられます。生存しつずけるためには、学ぶべきことは晩年まで尽きることはありません。個人のレベルと同様、生存を続け衰退を防ぐために、会社や国家のような社会的集団も危機管理、自己防衛が重大なテーマです。生命系のドラマにおいては、マクロファージが38億年のシナリオを描いてきました。シナリオのテーマをひとことでいえば、「外憂内患を除く」ということです。大きな節目がいくつかありました。ひとつは単細胞から多細胞になるとき。次に水中から陸上に上がるとき、そして人間が文化を形成して起きた変化が最新の節目です。多細胞生物が複雑になるにともない、白血球は本来の機能を残すマクロファージと、マクロファージの貧食能を発達させた顆粒球、そしてマクロファージの免疫能となる接着分子を発達させたリンパ球に分化していきました。
by こんぴら天狗
by こんぴら天狗
2014年04月09日
私たちは38億歳?!
私たちは38億年の進化をへて、いまここにこんな姿をして生きています。38億年の進化過程が、単細胞の受精卵として母胎い宿り誕生するまでにくり返されている。私たちはふたつの物語を生きています。人生系の物語と生命系の物語がそのふたつです。人生系の物語の主人公何かをしたい私、つまりエゴです。もうひとつの物語である生命系は、全体でひとつなのです。人生系は孤立したエゴがせいぜい100年足らずの時間帯を持っているのに比べ、38億年の奥行をもち、生きとして生けるすべてのものとつながり、全部が一体です。巨大な一と小さなばらばらの一。このふたつの交わりにくい物語系を同時に生きているのが、私たちひとりひとりの人間なのです。われわれとは何かを考えたとき、生命系の主人公をマクロフアージなのです。白血球の分画にふれた際、顆粒球が60%、リンパ球が35%、残りの5%を占めているのがマクロファージです。38億年の進化の歴史のプロセスで、終始一貫して姿を変えることなく存在しつずけてきた唯一のものがマクロファージなのです。進化とは適応の範囲をどんどん広げていくことといいかえることができますが、その獲得した適応の範囲を超えると、生体に破綻をきたし病気となります。マクロファージは、そのような適応に失敗した個体を自ら死滅させる能力をもっているのです。免疫学の立場は、病気を考えるとき、マクロファージの視点から生体のシステムを見ていくところにあります。免疫システムは、生きること、死ぬことの両方に関わる生命の中核のシステムなのです。生命力とは免疫力のことなのです。
by こんぴら天狗
by こんぴら天狗
2014年04月04日
自律神経のリズムとバランス
私たちがふだん意識することのない生命系のドラマにも波があります。自律神経の本質は波なのです。ふたつの波が拮抗しながらバランスをとっていきます。交感神経の波と副交感神経の波。交感神経は闘う神経です。一方、副交感神経は休息する神経です。交感神経が活発化すると、エネルギーを消費する態勢に入ります。副交感神経が活発化すると、エネルギー消費を抑え、蓄積する態勢に入ります。顆粒球とリンパ球の日内リズムをグラフ化してみると、交感神経優位の日中には顆粒球が血液中に増えています。昼の12時ごろをピークとして明け方までさがりつずけ、午前4時ごろからまた上昇します。副交感神経優位の夜間には、リンパ球が植えます。交感神経は活動を支え、副交感神経は休息、睡眠を支配していることがくっきりと出ています。一年を通して調べてみると、やはり波がありました。リンパ球の数は、夏は増え冬は減る傾向があります。夏は副交感神経優位のリンパ球体質になり、冬は交感神経優位の顆粒球体質に変わります。交感神経が刺激されつずけると顆粒球がどんどん増えます。顆粒球がどんどん増えると交感神経はどんどん緊張してきます。心身一如です。心と体は自律神経でつながっているのです。ふだんから「やばい、交感神経が刺激されすぎているぞ」とか「副交感神経が優位になっていて、いま気持ちいいんだな」などと自覚する習慣をもっているならば、バランスに抵抗したり、リズムに対して無理強いしたりせず、自然な流れに任せる知恵も育っていくのではないでしょうか。 by こんぴら天狗